血圧とは、心臓から送り出される血液が血管を押す力のことです。そのため高血圧(診断基準:最高血圧140以上、最低血圧90以上)が続くと、血管に負担をかけ、血管の内壁を傷つけます。そのことが動脈硬化の引き金となり、いずれは生活習慣病(脳卒中や心筋梗塞など)を起こしやすくなります。
高血圧を予防しよう
食事
塩分を摂り過ぎない(高血圧ガイドラインでは6g/日を推奨)。
具体的な方法として、“醤油や塩をかけ過ぎない” “ラーメンやそばの汁は飲まない”
“天然だしの利用” “レモン果汁などで味にアクセントをつける” などがあります。
カリウムを摂取する
カリウムは体内の余分な塩分を体外に排出する働きがあります。
そこで、カリウムを多く含む食べ物
(例:ほうれん草、納豆、ひじき、りんご、バナナなど)を摂取しましょう。
ただし、腎臓の悪い人などはカリウムの摂り過ぎに気を付けてください。
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
動物性脂肪(バター・肉の脂身など)は、血液中のコレステロールを増やす傾向があります。
植物性脂肪や魚油(イワシ、さんま)を活用しましょう。
また、動脈硬化予防のためにも、肉ばかり食べずに魚や豆腐も摂取しましょう。
バランスの良い食事を腹八分に
毎食「主食・主菜・副菜」をそろえるように心がけましょう。
また、ゆっくりよく噛んで食べることで、少量でも満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぐことができます。
ダイエット
肥満者は正常体重者と比べ、約2~3倍多く高血圧症になるといわれています。
そこで、肥満傾向の人は体格指数(BMI)(*1) が25未満になるように、
食事や運動に配慮して減量を目指しましょう。
ちなみに最近の研究では、現体重から-3%するだけで、
血圧値やコレステロール値などに改善が見られはじめる(*2)といわれています。
また内臓脂肪の目安でもある腹囲が男性85以上、女性90以上の場合も気を付けましょう。
まずは無理をしない程度の減量目標を設定して、スタートしてみましょう。
*1…体格指数(BMI)=体重(Kg)÷身長(m) 2 正常はBMI値が18.5~24.9
*2…日本肥満症学会肥満症治療ガイドライン
運動
運動をすることで、血管内皮機能が改善し血圧が下がること(*3)がわかってきています。
高血圧対策として好ましい “有酸素運動” としては、
散歩、ジョギング、サイクリング、水泳、テニス、ラジオ体操などが挙げられます。
たとえば1日30分の早歩きを3か月ほど継続すると血圧低下の効果が現れてきます。
スポーツクラブなどで運動をするのも一つの方法ですが、駅の階段の上り下り、
一駅分だけ歩く、家の中の掃除など、日常生活のいろいろな場面で意識的に
運動を取り入れるのもお勧めです。
*3…高血圧症を改善するための運動療法(厚生労働省e-ヘルスネットより)
飲酒
お酒をたくさん飲む人に高血圧が多く、また血圧がなかなか下がりにくいことがわかっています。
適量の飲酒の目安として、ビール中びん1本、ワイングラス2杯弱、焼酎半合弱、日本酒1合、
ウィスキー・ブランデーダブル1杯程度です。
また、肝臓のためにも“週に2日は休肝日”としてお酒を飲まない日を作りましょう。
なお、飲みたいお酒の適量(ml)が分かる早わかり計算式を紹介しておきます。
ぜひ、ご活用ください。
1日のお酒の適量(ml)=25÷度数(%)×100
禁煙
タバコは“百害あって一利なし”とよく言いますが、
喫煙をすると交感神経系を興奮させ、一過性に血圧が上がります。
また、タバコは脳卒中や心筋梗塞などの危険因子です。
一人で禁煙をするのは難しいという方は、
仲間やご家族の協力はもちろん、禁煙外来なども上手に活用して禁煙を目指しましょう。
ストレス
ストレスには人前で歌ってドキドキするなどの急性的なストレスと、
ストレスが持続する慢性的なストレスがあります。
高血圧との関係が深いのは、慢性的なストレスの方といわれています。
現代社会は“ストレス”とは切っても切れない状況です。
日常生活を工夫し、気持ちの切り換えをすることで、
ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
例えば、趣味を楽しんだり、十分な睡眠や休養を取ったりすることで、
心身ともにリフレッシュすることを目指しましょう。
また、寒さによるストレスを避けることも大切です。
そのためにも家の中の温度をなるべく一定に保つ工夫をしましょう。
例えば、トイレの寒さ対策として暖房器具の設置、保温式便座の活用なども有効です。
寒い所へ移動する場合は1枚上着を羽織るなど温度差を最小限に抑えましょう。
生活のリズムを整える
食事は1日3回キチンと食べ、睡眠を十分摂るなど、
食事、睡眠、排便などの生活リズムを崩さないように心がけましょう。
また、血圧測定を定期的に行なうなど、自身の健康管理を意識しましょう。
まとめ
高血圧は動脈硬化や脳卒中、心臓疾患などさまざまな疾患に影響を及ぼします。
日頃から食事、運動、日常生活などを少し見直すことで高血圧症の予防・改善を心掛けましょう。
また、血圧測定をすることは、自身の健康状態を把握することにも役立ちます。
血圧測定の機会が少ない方は、ぜひ1度計ってみましょう。
血圧が気になる方は定期的に測定して記録しておきましょう。
「栄養ケア」担当講師