1. 骨粗しょう症とは?
骨の強度は“骨密度(骨量)”と“骨質”で決まっており、この骨の強度が弱まり、骨折しやすくなった状態のことです。この骨の強度を低下させる主な要因としては、①女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏、②加齢、③運動不足などが考えられています。そのため、高齢になるほどに増加傾向で、特に女性は男性の約3倍もの発症率といわれます。
骨粗しょう症は単に骨折しやすくなるだけの疾患ではありません。生活の質や活動範囲を狭くすることに繋がり、社会生活に悪影響を及ぼします。
2. 骨粗しょう症の種類
骨粗しょう症は、以下のように2種類に分けられます。
特に中高年女性がかかる多くを占める骨粗しょう症は、原発性骨粗しょう症のなかでも閉経後骨粗しょう症と呼ばれるものです。
原発性骨粗しょう症
明らかな原因疾患などがなく、主に女性ホルモンの低下や加齢によって引き起こされるものです。他にも栄養バランスが偏ったり(無理なダイエットや偏食など)、カルシウムやタンパク質、ビタミンD、ビタミンKなどが不足していたり、遺伝的要因が関わっている場合もあります。
閉経後骨粗しょう症、男性骨粗しょう症、特発性骨粗しょう症(若年性及び妊娠後骨粗しょう症など)が含まれます。
続発性骨粗しょう症
骨が弱くなる原因や疾患が明らかな骨粗しょう症のことです。代表的な疾患としては副甲状腺機能亢進症や関節リウマチなどが挙げられます。また、ステロイド薬などの薬によっても発症する場合があります。原因を取り除いたり、疾患の治療を適切にすることが、骨粗しょう症の発症を抑えたり、症状の軽減に繋がります。
3. 骨粗しょう症で骨折しやすい部位
つまずいたり尻もちをつくことで、骨折しやすくなります。
そのためにも、筋力強化やバランス感覚を改善できる運動を日々取り入れましょう。
また、室内の整理整頓はもちろん、手すりやスロープを付けたり、滑り止めマットを置くなどの環境整備も効果があります。
4. 骨粗しょう症の危険因子
下記のような危険因子が該当する場合は、生活習慣を見直して、骨の検査を受けるなど気を付けましょう。
加齢、食事の偏り(過度のダイエット、偏食、カルシウムやビタミンDの不足)、
過度のアルコール摂取、喫煙、運動不足、過労・ストレス、不眠、遺伝・体質、病気や薬
5. 予防・対処
骨粗しょう症は加齢とともに増加傾向にあることは最初に述べましたが、予防は若い時から行っておくことが大切です。
10代は体を作る大切な時期です。ついついスタイルを気にして無謀なダイエットを行う人がいますが、バランスの良い食事と運動を心がけましょう。
特にカルシウムやたんぱく質の摂取は大切です。また、カップ麺やスナック菓子を多く取らないようにしましょう。
社会人になると仕事や家庭のことで多忙になりがちですが、出来るだけ規則正しい生活を心がけましょう。
特に喫煙は、骨粗しょう症の危険因子だけでなく健康を考える上からも出来るだけ早く禁煙をしましょう。特に、40歳以降、特に閉経後の女性は骨密度を測定し骨粗しょう症の早期発見・治療を心がけましょう。
高齢者は個人差もますます大きくなりますが、自分の体力を過信せず、適切な運動を行いましょう。
また、転倒・転落にも気を付けましょう。
食生活では低栄養になる人もいるので、1日3食バランスの良い食事を摂取するように心がけましょう。そのためにも口腔ケアなどに配慮する必要もあるでしょう。
◎骨粗しょう症予防に大切な栄養素
バランスの良い食事を摂取することは重要なことはわかっているけれど、具体的に何を摂取すれば良いのでしょうか?
骨粗しょう症予防のために大切な栄養素は、「カルシウム」「ビタミンB群」「ビタミンD」「ビタミンK」「タンパク質」です。カルシウムだけを摂取しておけば良いというものではありません。カルシウムの吸収を高めたり、骨を形成する働きのある栄養素を摂りましょう。
また、日光を浴びることでビタミンDを肌で作ることも出来ます。夏なら木陰で30分程度、冬であれば手や顔に1時間ほどに日に当たるよう心がけましょう。紫外線が気になる場合は、日焼け止めや帽子・日傘などで対策をしておきましょう。
◎骨粗しょう症予防に効果のある運動
骨に負荷をかける運動が良いといわれています。例えば、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどが挙げられます。また、階段の上り下りや散歩などを毎日の生活で意識するのも良いでしょう。
開眼片足立ち(下図参照)などは、片足に負荷がかかると同時にバランス感覚を高めることになり、転倒予防対策にもなります。最初は無理しない程度から始めてみましょう。
運動をする時は、くれぐれも転倒などしないように周囲の環境を整えると同時に、運動に相応しい服装や靴で行いましょう。
まとめ
今回は「栄養」と「運動」を中心にお伝えしましたが、将来、自分らしく健康で自立した生活を少しでも長く続けるためにも、現在 目の前にいらっしゃる高齢者の方はもちろんですが若い年代からの生活習慣(喫煙や過度のアルコール摂取など)を見直しておくことが大切でしょう。
「介護予防概論」「栄養ケア」「口腔ケア」担当講師