「介護予防」とは、健康な生活を長く続け、介護を受ける状態にならないようにすることです。また、介護が必要になった場合に、それ以上度合いが増さないように改善していくことも介護予防です。いずれの場合も、一人ひとりが自分で努力することが大切です。
介護が必要になる原因はさまざまですが、心身ともに機能低下を防ぐことが重要です。生活機能が低下した場合、リハビリテーションの理念を踏まえて、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることが重要であり、日常生活での活動を高め、家庭や社会への参加を促し、生きがいや自己実現のための取り組みを支援してQOL向上を目指します。(厚生労働省「これからの介護予防」)
介護予防の大切さがわかっていても、個人で自主的に介護予防の行動を起こすのはなかなか難しいものです。
― 誰もが豊かな老後を過ごせるように、要介護者ばかりでなく、元気な方をも対象として介護予防に取り組んでもらいたい ―
そこで求められるのは、専門的な知識と技能を持って介護予防を推進する人材です。『介護予防指導士』はまさにその役割を担うための資格です。
当協会は介護予防の活動を推進する人材の育成を目的とし、2005年から「介護予防指導士講習」を開催してまいりました。2019年6月現在で5000人以上の修了生を輩出しています。活動の場は実に様々ですが、資格取得後は『介護予防の担い手』として「筋力訓練指導」「ストレッチング」「転倒予防」「栄養ケア」「口腔ケア」などの指導を行なうことができます。
既に持っている資格に『介護予防の知識と技術』をプラスすることで仕事の幅がさらに広がることでしょう。
地域包括ケアシステムをはじめとしたさまざまな場面できっと役立つはずです。
平成20年からメタボリック症候群の予防検診が義務化されました。当たり前のことですが、私たちは一生病気にならないほうが幸せですし、病気にお金を使うよりも予防するほうがはるかに安上がりです。これからの医療は予防医療が中心となります。医療に関連する介護でも同様になるでしょう。今は介護保険ですが、近未来は介護予防保険に様変わりすると思います。私たちは一生介護を受けずに過ごしたほうが幸せですし、それを望んでいます。
今、地方では超高齢化が猛スピードで進行しています。それと共に地域の地場産業は衰退しています。このまま何もせず地方にいると、地方は滅び、やがて日本が滅びていきます。介護予防は高齢者の生き生きとした活力を取り戻し、村おこしや町おこしの核になる理念でもあります。未来の日本のためにがんばりましょう。
望月 彬也(もちづき よしなり)
介護予防指導士講習
リハビリテーション担当
(公財)東京都福祉保健財団福祉情報部
相談員 / 理学療法士 / 介護支援専門員