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介護のプロフェッショナル「介護福祉士」

掲載日:2019/01/25

介護福祉士は、社会福祉士、精神保健福祉士と並ぶ福祉の国家資格(通称:三福祉士)のひとつで、ケアワーカー(主として介護等を業する者)の資格です。社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上・精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある人の心身の状況に応じた介護を行ない、その人や介護者に対して介護に関する指導を行なう専門職の資格です。1987年(昭和62年)にできた制度で資格登録者は約162万人です。(2018年11月末日現在)
●介護福祉士はどんな仕事をするのか?
●どうすれば介護福祉士の資格が取れるのか?
●介護福祉士にはどんなスキルが必要なのか?

今回は、以上の3つの視点から「介護福祉士」を紐解いてみたいと思います。

 

介護福祉士はどんな仕事をするのか?

介護福祉士は特別養護老人ホーム・身体障害者施設等の社会福祉施設等の介護職員として介護業務を行ないます。また、利用者の居宅を訪問し、介護方法や生活動作に関する説明、介護に関するさまざまな相談にも対応します。

 

どうすれば介護福祉士の資格が取れるのか?

下の図をご覧ください。


(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター ホームページより)
「あれ?前に調べた時と違うぞっ!」と思った方もいるかもしれませんね。

実は「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)介護福祉士国家試験から、資格取得までの要件が変更されたのです。介護福祉士になるためには、いずれの場合も「介護福祉士国家試験」に合格する必要があります。その前にまず、国家資格を受けるための「受験資格」を得なければなりません。この「受験資格」を得て、晴れて受験に臨むことができるわけです。

「国家試験」は「筆記試験」が全国で一斉に行なわれます。筆記試験合格者のうち、「福祉系高校ルート」、「経済連携協定(EPA)ルート」で、「介護技術講習会」または「実務者研修」を修了していない方は「実技試験」を受けることになります。それ以外の方は「実技試験」は免除になります。これが「介護福祉士」になるためのステップです。

では、このページをご覧いただいている皆さんに関係が深いと思われる「養成施設ルート」「実務経験ルート」の2つのルートについて解説しましょう。

 

<養成施設ルート>

これまでは「介護福祉士養成施設」を卒業すれば、「介護福祉士国家資格」を取得することができていました。しかし上記の法改正により、たとえ介護福祉士養成施設を卒業しても、国家試験を受験し合格しなければ介護福祉士の資格を取得することができなくなりました。ただし経過措置があり、2021年度(2022年3月末)までに介護福祉士養成施設を卒業した人の場合、卒業後5年間は「介護福祉士」として登録されます。そしてさらに継続して5年間従事すれば、介護福祉士の登録を継続することができます。

 

<実務経験ルート>

これまでは「実務経験が3年以上」あれば受験資格が得られました。しかし、平成28年度(第29回)の試験から、「3年以上の実務経験」に加えて「実務者研修の修了」が条件となりました。また、「3年以上の実務経験」については、「従業期間3年(1095日)以上で、かつ従事日数が540日以上必要」となりますので、くれぐれもご注意ください。

 

介護福祉士にはどんなスキルが必要なのか?

介護福祉士が担う役割

介護はその人の生活全般に関わる広範な仕事です。多くの人は『介護』というと、おむつ交換などの排せつ介助、ベッドから車椅子への移乗介助、入浴介助などをイメージしていると思います。しかし、介護福祉士が行なっているのはこれだけではありません。

生活全般について日頃の様子を家族から情報収集し、どのような課題やニーズがあるのかを発見したうえで、生活の質を高めるための介護方法を提案、実施していきます。

 

介護福祉士の心構え

介護を行なう場合、「誰のために介護を行なうのか?」「何のために介護を行なうのか?」を常に考えながら行動することが大切です。介護福祉士は「介護」するだけではなく、時として「本人の能力」を呼び起こすための働きかけも必要です。本人ができる能力があれば、その能力を維持させていく。たとえ時間がかかっても、その人自身の行動を促しながら見守っていくといった「介護予防」や「自立支援」の視点を持って臨むことが重要となります。

その人に合った介護を実践し、利用者の将来の目標を達成させるためには、介護職員の指導や教育も必要ですし、関係職種との連携やさまざまな面での環境の整備も求められます。

 

「その人らしい生活」の実現に向けて

平成25年度の高齢社会白書の「団塊の世代の意識調査」によると、「今住んでいる家に住み続けたい」という答えが81.0%となっていました。住み慣れた地域でその人らしく生活していくことは多くの人が望んでいることです。

しかし様々な理由により、住み慣れた土地を離れなければならない方や施設に入ることを余儀なくされる方は少なくありません。

介護福祉士はその点についてよく理解した上で、在宅であれ施設住まいであれ、その地でその人らしい生活を送るための支援を行なうべきではないかと考えます。そのためにも、その地域の伝統、文化、習慣、環境にも目を向け、それを支援に活かすべく、しっかりと目を向けたいものです。その方がこの地で何かしらの役割を持ち、活躍できる場を見出すことができれば、きっと喜んでもらえるのではないでしょうか。

 

最後に

ここまで「介護福祉士」に関することを述べてきました。2025年問題を迎える中、介護福祉士の需要は一層高まるものとなります。介護福祉士の本当の役割がわかれば、大きなやりがいや充実感を得ることができるでしょう。これから先、少しでも多くの方が「介護福祉士」を目指していただけると幸いです。

 
林 政彦(はやし まさひこ)
「介護予防概論」「認知症ケア」担当講師

島根総合福祉専門学校 専任教員
グループホーム管理者、通所介護事業所管理者、居宅介護支援事業所管理者等での現場経験を活かし、即戦力となる介護福祉士を養成している。日本介護予防協会参与兼中国ブロック長、島根県介護福祉士会監事、松江市介護認定審査会委員、松江西高等学校非常勤講師。
介護予防指導士とは

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